58冊目:「日本の一文 30選」 著者:中村 明
【遊びに来て頂きありがとうございます!】
歴史的文豪の一文をぎゅっとまとめた傑作集でございます。
夏目漱石、志賀直哉、武者小路実篤、谷崎潤一郎、芥川龍之介、井伏鱒二、川端康成など、もうこれでもか。というぐらい、珠玉の一文が紹介されております。
現在連れ添う細君ですら、あまり珍重しておらん様だから、其他は推して知るべしと云っても大した間違いはなかろう 夏目漱石 「我輩は猫である」
他の蜂が皆巣へ入って仕舞った日暮、冷たい瓦の上に一つ残った死骸を
見る事は淋しかった
志賀直哉 「城の崎にて」
山手線の電車にふれて怪我をし、その後養生のために城の﨑温泉に来ている事を
述べている。
「それじゃ、電話きるわよ。」と、しばらくの猛烈な沈黙のあとで彼女が言った。
庄司薫 「赤頭巾ちゃん気をつけて」
たった一言で読み手をどきりとさせる表現。
国境の長いトンネルを抜けると雪国であった
川端康成 「雪国」
文章表現だけで、それぞれ作家の特徴や癖をいうものを本作から学ぶことが出来ます。
目に見える形あるもの、景色、匂い、空間。
文豪たちは、幼少期から培った経験全てを血肉とし、言葉に変え、読者に強烈な
インパクトを残してきました。
無形遺産というか、言葉そのものが、宝として私の胸の中で生き続けます。
そして、これからの未来も様々な「言葉」と出会っていきたいですね。。。
それでは。