42冊目:「眠れる美女」 著者:川端 康成
【遊びに来て頂きありがとうございます!】
川端作品でも、かなり異彩を放つ本日の作品。
「眠れる美女」
「眠れる森の美女」となんか混同しちゃう。。みたいな(笑)
いやいや、川端先生の数ある作品の中でも、かなり「妖艶」な「エロティック」な作品なんですね。。。
主人公の江口老人。
海辺に佇む「秘密クラブ」で意識を失っている娘の側で一夜を過ごす物語です。
江口老人は娘達と戯れる事で、過去の思い出や、価値観、仏心的な悟りと重ねていくわけです。
前回も「山の音」でも記しましたが、川端先生の凄さが本作品にもありありと出ております。
人間の細かな動作、指の動き・顔の機微といったところを川が自然と流れるように、
滑らかに表現しております。
江口の指に触れた娘の歯は、指にほんの少しねばりつくものにぬれているようだった。老人の人差し指は娘の歯ならびをさぐって、唇のあいだをたどっていった。
これです。。私が言いたいのは。。
まず、この文脈から、江口老人の一連の所作が目の前で起きているかの如く、想像が出来ます。
そして、この素晴らしい文脈に加えて、「妖艶」さが付帯しているというか。。
指にほんの少しねばりつくものにぬれているようだった。
「ねばりつくものに」・・・ここです。こんな表現出来ます!?
ちいさい唇のなかに、どんな歯があるのだろう。江口は下唇のまんなかをつまんで少し開いてみた。唇のちいさいわりにこまかくはないが、まあこまかい、きれいにそろった歯であった。老人が指を離すと、娘はもとのようには唇をとじきってしまわなかった。
所作の時間にしたら、1秒2秒の動作だと思います。なのに、なんでしょう。これ程までに秒単位の動きを読み手に伝える妙技は。。。
もう、お腹いっぱいです。。(笑)
ちょっとお腹が減ったら、また川端作品から栄養を頂きたいと思います。。
それでは。